象ヶ鼻岩銭形展望台目次
象ヶ鼻岩銭形展望台について
香川県最西端に位置する観音寺市、市名にも使われている「観音寺」は弘法大師空海が住職を勤めたと言われる歴史あるお寺です。
西は瀬戸内海に面し、隣は愛媛県の四国中央市です。
南は讃岐山脈を隔てて徳島県と面しています。
穏やかな海に囲まれた穏やかなまち、今回ご紹介する象ヶ鼻岩銭形展望台はそんな観音寺市に位置します。
展望台は観音寺の市街地から財田川を挟んだ場所にある琴弾山(ことひきやま)の山頂近くにあります。
琴弾山は標高70mの山で、山頂には「琴弾八幡宮」があります。
山麓には先ほどご紹介した観音寺もあり、山は観音寺のシンボルの一つにもなっています。
琴弾山は隣の有明浜とともに「琴弾公園」として整備されており、公園は瀬戸内海国立公園の一部に含まれ、国の名勝にも指定されています。
展望台からは瀬戸内海が一望できるのはもちろん、有明浜に描かれた銭形の砂絵「寛永通宝」を見ることができます。
砂絵は江戸時代に藩主が領内巡視の際に、領民たちが藩主を歓迎するために一夜で描いたと伝えられています。
観音寺といえば寛永通宝と言われるほど、砂絵は街のシンボルともなっています。
砂絵は東西122m、南北90m、周囲345mもある巨大なもので展望台からはその全貌を見ることができますが、地上から見るとさらにその大きさを実感することができます。
毎年春と秋には砂絵を美しく整える「砂ざらえ」が市民を中心に実施されています。
砂絵は観音寺市のシンボルの一つとして、市民からも愛されているということが分かります。
平成の大合併前の観音寺市の市章は銭形砂絵をもとにしたものでした。また砂絵を見るとお金に不自由しないという言い伝えもあります。
ちなみに領民が砂絵を描いて迎えた時の藩主は高松藩の4代藩主生駒高俊で、1633年のことでした。
生駒高俊はその後1640年に家臣間の争いの責任を取らされ、現在の秋田県由利郡矢島に改易され、矢島藩の藩主となります。
また寛永通宝が作られ始めたのは砂絵が書かれたと言われる1633年より後の1636年であり、高俊が領内を巡視したという記録も残っていないので実際のところ砂絵の起源ははっきり分かってはいません。
約38.6ヘクタールの大きさを誇る琴弾公園には、展望台の他にも多くの見所が点在しています。以下、いくつかの名所を紹介していきましょう。
- 有明浜
展望台から見える銭形の砂絵が描かれる有明浜は約2キロメートルに渡って白い砂浜が続いており、「日本の渚百選」にも選ばれています。
春から秋にかけては多数の海浜植物が咲き誇り、夏には海水浴場を楽しむ人々で賑わいます。
また夕陽が沈む様子も非常に美しく、ロマンある瀬戸内海を堪能することができます。
- 琴弾八幡宮
山頂にある琴弾八幡宮は703年に建てられたと伝えられる神社です。
伝説によると、嵐の過ぎ去った夜に現れた一隻の船から聞こえる琴の調べにうっとりした人々が、琴の主を山頂に引き上げ神殿を建てたのが始まりです。
琴弾の名前もこの伝説に由来します。
また源義経が源平合戦の勝利祈願をした場所でもあることから、勝負の神様として受験を控えた学生なども勝利を願い参拝に訪れます。
八幡宮は銭形展望台の横にあります。
参拝した後の綺麗な心で展望台から眺める景色は、心に深く残るものになるでしょう。
- 観音寺
山麓には市の名前にもなっている観音寺があります。
今から1300年ほど前に琴弾八幡宮の別当として創立され、大同年間(806〜809年)に弘法大師空海が住職の時に観音寺と改められました。
四国霊場88カ所の一つにもなっています。
また境内には同じく四国霊場の一つである神恵院もあります。
明治の神仏分離令で琴弾八幡宮の境内にあったのが移されたもので、四国霊場唯一の1寺2霊場となっています。
- 公園内の自然等
公園内は史跡だけではなく、豊かな自然もあります。
園内には松原があり、およそ5万本の黒松が伸びています。
根上がり松という根の部分が地上に露出している非常に珍しい松もあります。
根上がりを「値上がり」として、株価や給料アップを願う人々が訪れる金運スポットでもあります。
琴柱池には松の緑が水面に映り、時間によっては噴水を楽しむことができます。
園内には季節ごとに桜やつつじ、ふじの花が咲き、公園の景色に彩りを与えてくれます。
特にさくらは「日本さくら名所百選」に選ばれるほど美しく、時期になると約200本のソメイヨシノが咲き誇ります。
公園内には滑り台やブランコなどの遊具もあり、子供たちも楽しむことができます。
多くの史跡や自然がある琴弾公園。
不思議な砂絵や美しい瀬戸内海を見ることができる園内の山頂近くにある銭形展望台。
歴史を感じたい方も、そして自然や美しい景色に癒されたい方も満足できる場所です。
一人でのんびり散策するのもよし、家族で遊びに来るのもよし。
市街地からも近く観音寺市を代表する観光スポットに、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
象ヶ鼻岩銭形展望台の見どころ
銭形展望台の1番の見どころは、なんと言ってそこから見える銭形の砂絵「寛永通宝」。
どの季節、どの時間に訪れても楽しむことができますが、日没から午後10時頃まではライトアップがされます。
通常はグリーンでライトアップされますが、時期によってはゴールドやブルーになります。
大きな砂絵が光に照らされる幻想的な姿は、多くの人々の心を惹きつけます。
夕陽が沈む有明浜を眺めた後にライトアップされる砂絵を眺めれば忘れられない旅になるでしょう。
展望台へは琴弾八幡宮の参道である階段を上り神社を抜けて到達するルートと、直接車で展望台へ通じるルートがあります。
のんびりと琴弾山を散策した後に景色を楽しむことも、サクッと展望台だけの景色を楽しむこともできます。
ただ展望台への車道は道幅が狭いので運転には注意が必要です。
また繁忙期には山頂の駐車場は混雑することもあるので、できれば歩いて行った方がいいかもしれません。
砂絵をより楽しむためにも、事前に寛永通宝について少し知っておくと良いでしょう。
寛永通宝は江戸時代の寛永13年(1636年)から幕末にかけて鋳造された貨幣です。
明治になっても通貨として使われており、なんと1953年まで法的には通用していました。
そして現在でも観音寺市では地域通貨として寛永通宝を使用することができます。
(使用できるお店は限られていますので事前に確認が必要です。)
すでに紹介したように展望台のある琴弾公園には他にも多くの見どころや魅力があります。
山頂にある琴弾八幡宮では毎年10月の第3週末(金、土、日)に琴弾八幡宮大祭が開催されます。
9台の「ちょうさ」と呼ばれる太鼓台がその勇ましさを競うもので、江戸時代から続く伝統ある祭りです。
太鼓台はかなりの大型で3t級と呼ばれており、夜間の電飾が派手であることでも有名です。
公園内では他にも季節のイベントがあります。
現地では観音寺祭り、観音寺ちょうさ祭りとも呼ばれ、長い間市民に親しまれています。
祭りの期間に訪れてみたいですが、期間ではなくてもちょうさは公園近くにある観音寺市総合コミュニティセンターで見ることができます。
先程紹介した春と秋に砂絵を整備する砂ざらえですが、春の砂ざらえの際には園内にある浴日館休憩所でお茶の接待「若葉茶会」が行われます。
つつじの花が咲き誇る中、お茶でのんびりとすることができます。
公園には観音寺市の魅力がギュッと詰まっており、どの時期に訪れても楽しむことができます。
象ヶ鼻岩銭形展望台付近
象ヶ鼻岩銭形展望台がある琴弾公園の周辺は観音寺市観光の中心として多くのスポットが集まっています。以下、いくつかの見どころを紹介していきます。
- 観音寺市総合コミュニティセンター
コミュニティセンターでは先ほども紹介した通り、琴弾八幡宮大祭で使われるちょうさが展示されています。
また観音寺市観光協会の事務局があり、観光パンフレットなどが取り揃えられています。
観音寺観光の第一歩に訪れると良いでしょう。
- 世界のコイン館
銭形砂絵があることに由来して、125か国の珍しいコインや紙幣などが約2000点展示されています。
お金の歴史をわかりやすいイラストなどとともに学ぶことができます。
また1億円分の紙幣の切りくずやヤップ島の世界一大きい石のお金などの珍しい展示物を見ることができます。
ミュージアムは1988年に市民によって作られました。
入館料は次に紹介する大平正芳記念館と共通券で一般300円、小中学生150円となっています。
- 太平正芳記念館
1910年に香川県三豊群和田村(現観音寺市)で生まれ、第68・69代内閣総理大臣である大平正芳に関するミュージアムです。
田中角栄内閣で外相として日中国交正常化の実現などの功績があります。
他にも公園周辺には多くの見どころがありますので、訪れる前に一度チェックして行く場所の目星を付けておくと良いでしょう。
アクセス
象ヶ鼻岩銭形展望台は財田川を挟んで観音寺市の中心部と反対側にあります。
鉄道では、JR予讃線観音寺駅から展望台まで歩いて30分弱です。
ただ公園の入口から展望台までは長い階段を歩かなければいけないので、距離の割には体力を取られてしまいます。
観音寺駅からはのりあいバスが出ているので体力に自信がない方はこちらを利用すると良いでしょう。
五郷高室線に乗り、運転手の琴弾公園で降りると伝えましょう。
(のりあいバスは路線上ならどこでも乗り降りが可能です。)
車では、高松自動車道大野原ICから約6km、さぬき豊中ICから約8kmです。
山頂、浴日館前、有明グラウンド東側に普通車用の無料駐車場が整備されています。
公園の入口から展望台までは車と徒歩どちらで上ることができます。
車では琴弾公園内ドライブウェイを使って上ります。
ただ途中にトンネルがあり、車高3メートル、車幅2メートル10センチ以内の車しか通行できないので注意しましょう。
徒歩では琴弾公園内遊歩道で、また琴弾八幡宮の境内を抜けて上ることができます。
年末年始やゴールデンウィークなどの長期休暇の際には山頂駐車場は非常に混雑するので、他の駐車場に車を停めて歩いて山頂まで登ることをおすすめします。